ドイツにいるけれど日本に一時帰国してきた話

みなさまおはこんにちは。いかがお過ごしだろうか。
最近のライプツィヒは、寒い日が10℃前後の日が続いていたが、すこしそれも落ち着き、
珍しく日中は20℃前後の日が続いている。日本もようやく遅めの秋が訪れてきたと、
日本の友人から報告を受けている。朝晩は過ごしやすくなっているようで、酷暑から
極寒の間にはやはり”秋”が必須だということを感じさせる。

さて、タイトルを見てどういうことかと思った方もいるだろう。
今回は、ようやくまとまった時間ができたため、わたしの劇推し作家さんの本を読んだ。
このブログのトップページのプロフィール記載の、森沢明夫作の「エミリの小さな包丁」を読破して
ドイツにいながら気持ちは完全に日本に一時帰国
したのだ。

目次

みんなに読んでほしい森沢明夫作品

彼の作品には、心の処方箋的な役割があるとわたしは思う。例えば物事がうまくいかず、気持ちが
沈んでしまうとき彼の作品を読むと、自然と自分の心が解放されていく感覚がある。
この感覚がまたクセになり、読書中に「そうそうこの感覚」と毎度自分のその心の状態に納得して
しまうのだ。その心の状態とは別のところで、
わたしの心と頭は常に慌ただしく動きまわっている。
というのも、いつからか目の前の人の話を聴いているときや、まさに本を読んでいるときなど、
そのひとの心のなかに幽霊のなかに入りこんでしまうのだ。そして、その人が悲しい話をしていたと
したら、わたしまで悲しくなり気づいたら涙が止まらくという現象はよくあることだ。
だから、今回この本を読み終える道のりは大変だった。補足すると決してこの作品が悪いとか
そういう話ではない。恥ずかしい話、久しぶりにこんなに大泣きをした。まるで子どものように。
お察しの通り、顔は涙と鼻水でぐちゅぐちゅに。そう、森沢さんは泣かせるのがうまいのだ。
さらに、情景描写がどれも美しく、その場面を読むのと同時に、その描写がまるで一面ガラス張りの
美術館にでもいるように広がるのだ。これがまたたまらなくいい。
ドイツにいながら、日本のあの懐かしい真夏の入道雲や、秋の感動のあまり言葉がでてこないほどの
夕焼け。
これがまさに日本に帰った気分に浸れるのだ。

おじいちゃんから学ぶやさしさ

さて、ここからようやく作品を通してわたしが感じたことを下記に綴りたい。
森沢さんの作品を読んでいると、どの作品にも心が弱っている人や悩みを抱えた人に、そっと手を
差し伸べたり、心に刺さるような数々の名言を届けてくれたりする、物語のキーポイントとなるような
人物が登場する。都会生活にもまれ身も心もボロボロになったエミリは、自分のおじいちゃんに助けを求める。
そうそのおじいちゃんこそ今回の物語のキーポイントだ。
そこで、エミリは都会を一旦離れおじいちゃんの田舎町に転がり込み、その町でのたくさんの人との出会いやたくさんの学びを得る。そこから新たな自分の一面に気づき、また前に進む勇気をもらうのだ。
エミリを一番間近で静かに支えるおいじいちゃんは、言葉足らずでいつもなにを考えているのか分からない。
ただ、孫を思う気持ちはもちろん誰よりもあり、エミリに対するおじいちゃんの優しさは後半になるにつれ
溢れだし、その姿は大変見ものだ。


良いとか悪いとかいう話ではないけれど、良い相談相手とは必ずしも相談者の抱えている悩みに対して、
いつも答えを出してあげるわけではない。
わたしは、こういう性格からかありがたいことにたくさんの友人
から、相談を受けることがよくある。
ただ、いつもその友人たちに対して答えを出してあげなければという多少
焦りも混じった使命感に駆られる。答えをムリに出すことはないということを、わたしは今回おじいちゃんから
学んだ。
おじいちゃんは、はたから見れば放任主義に見えるかもしれないし、エミリもはじめのうちはそう思っていた。
だけど、それがおじいちゃんのやさしさだと分かったときわたしは納得した。
すこし突き放した言い方になるかもしれないが、エミリもそう思っていたように、
エミリがおじいちゃんに、ある悩みに対して答えを求めようとしたとて、こちらはヒントしか与えてあげられない。そのヒントを自分のなかで租借し、そこから自分で腑に落ちる解決策を見つけるしかないのだ。
非常に当たり前の話だが、こちらがいくら相手に対してベストな答えだと思って提示したとしても、それが
受け取る相手にとってベストな答えとは限らないからだ。
エミリがたくさんのヒントを得て、自分のなかで解決策を見つけたように。

森沢さんの作品について語ろうと思えば、永遠に語れそうな気がする。
異国で生きるということは、自分が思っている以上に大量のパワーを消費している。
だからこそ、自分のガス抜き法を知っていることは日本にいるとき以上に大切なことな気がする。
今回は、それを改めて気付かされたとても良い時間を過ごすことができた。
これからも定期的にガス抜きをしつつ、70%くらいのパワーを維持して生きていきたいと思う
ところである。
今日最後まで読んでくれてありがとう。
次回の投稿もお楽しみに。

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